アーサおじさんのデジタルエッセイ98
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む冷蔵庫のいろいろな残り物を一つにまとめてビニールの袋に詰めて、一回ぐちゃと揉んで、それを毛皮で包んだ頼りないモノ。これに神様が「えい!」と、呪文を唱えたので、動くようになったんだ。
「ネコ」というモノはそんなものであり、目を瞑って触るとそれが良くわかる。強く触ると、魚の骨や割り箸の破片が噛みつくから要注意です。
また、毛布が立体化し、息をして動くようになると、もう「イヌ」と呼びます。ときどき散歩させないと夜、毛布の役目をしてくれません。
暖かくてスベスベしてこんもりしているものは、小さい頃のお母さんの記憶でしょう。そんなものは温泉での居眠りで思い出すでしょう。
目の見えない人は、そんな世界に住んでいるかもしれない。「恋人」は、耳をくすぐる息遣い、頬を撫でる蜘蛛の糸の髪。
そして1個、2個、…5個並んだ指の節。それらを送信する『中継基地』を想像することで生まれる存在。いつも変化する「ことば」から、ひとつの文化を導くことができる。
その文化は直接、心臓に届くだろうか。赤ちゃんと赤ちゃんの対話だろうか?
神社の境内の鳩の群れの真中に立ったまま、目を閉じると遠い昔、人の祖先が海で過ごしていた記憶が蘇るだろう。あちこちで、ざざぁ、ざざぁと波の音がするように、360度を取り囲み「ぐるる、ぐるる、ぐる…」と海が鳴く声。
自分の体はゆらゆら揺れて、波間に漂う魚の夢を見る。
「またまた、お会いしましょ。」 2002年2月17日更新