アーサおじさんのデジタルエッセイ75
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む雨の降りそうな天空を高層のビルから眺めるのは、はなはだ胸のすくものだ。
アワの立ちあがったビールのように、アワの塊の下には、明るい光が満ちて世界が見える。
ビルはそのアワの下の位置にある。
上は黒い雲の海。広がる建物は洗われたように、くりりくりりとコンクリートの形をはっきりさせて立つ。
窓のひとつひとつは黒々と彫り込まれて繊細な工芸品になっている。
これらの光景を映し出している窓の大画面には、音もなく、雨粒の線が定規で引かれ始める。
僕らは帰りには傘がいるかもと考え、はるか下に走る橋の上の道路が鏡のように車の色を写し始めるのを確認する。
いつもこの反射を見誤ると、高層ビルを地上までに降りた時、自動ドアの前で、はじめて傘が必要になることを知り、小さな山の頂上ほどの高さもあるオフィス階に戻らねばならぬことにもなる。
今日は「濡れて帰ろうか、」というアイデアは人の居ない田舎ならまだしも、都会ではどことなく見栄のために叶わない。
犬ならびしょびしょに濡れて歩むことも厭わない。
厭わないのに、このごろの犬も黄色のレインコートなど着せられて「可愛く」引っ張られて行く。
◎ノノ◎
(・●・)
「 今朝は、涼しい風が吹いていた」