アーサおじさんのデジタルエッセイ74
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進むピカピカの本屋さんで、本を見る。
たくさんの女性が化粧品の匂いをさせている、都会的な人の香りのする通路をくぐり抜けながら、文庫本や、あたらしいハードカバーの表紙を眺め、楽しむ。
だれもがおいしそうなケーキのショーウィンドウを覗き込んでいるみたいだ。
みんなが、ちょっとずつ味見をしては、次へ移る。
本屋によっては、文庫本を買うと「カバーを選んでください」と言う。
はい、これらの色です。と、見本が並んでいる。なんだか得したような気分もするし、選ぶ色で人柄をテストされているような不安もある。
心理テストだな、これ。「このベージュ・・」。しまった、おじさんぽかった、かな?でも他の色は派手すぎるし。
サブウェイのサンドみたいに面倒でもある。お客様にはこれです。と、決められる方が面白い気もしてくる。
「あの、僕にはどれが似合うでしょうか?」「そうですねえ。お客様だと、こちらがカジュアルでよろしいかと・・。
試着室もございますから、お試しください」とはいかないな。
ブティックではないし。さて、文庫本を1〜2冊握って、電車に乗る。ぱらぱらめくる。どちらか1冊を読み始める。
そして、するすると滑るカバーが気になり始める。僕はやや大きめに乱雑に折られたカバーが我慢出来なくなる。
一旦広げて、本の大きさに合わせて折りなおす。これが結構難しい。
ぜんぜん合ってない時の方がむしろ折り易い。
2〜3ミリの違いは苦労ものだ。みんなどうしているのだろう。
つんつるてん?のカバーで我慢してるんだろうか?
それとも神経質に家に帰って、折り直すのだろうか?
電車の中での、これは僕のささやかなお仕事である。
◎ノノ◎
(・●・)
「 夏のうしろ姿が、窓から見えますよ」