アーサーおじさんのデジタルエッセイ486

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第486 使わないコートのフード 


 合成繊維のコートには、首の周辺に巻き込んだフードが装着されている。
棒餃子のような膨らみの中に、しっかりとしたフードがあるはずだ。
これは便利だ。
寒いブリザードが吹いた時など、ひっぱりだせば寒さを凌げる。
その時が楽しみだ。
しかし私は使ったことがない。
そんな寒い時にはなぜか別の厚いコートを着ているようである。
無理にでも出してみようかと思うが、いざとなると面倒臭くてその気にならないのだ。
こうして、おそらく捨てるまで開かれない部品があるのだ。
 そういえば、携帯電話でさえ、ろくに使いこなしたことがない。
以前のそれには、テレビ電話機能や、動画撮影の機能、画像の保存や編集、そしてインターネットの対応などが出来たはずだ。
でも機能の100分の一も使っ

ていない。
 また神田の古本屋街でよく見かける赤い百科事典の全巻が、全て読み尽されてから、売らられただろうか?
 たまに見かけるスポーツ選手のドキュメントでの過去の逸話はすごいものがある。
フィギュアの高橋選手は、致命的な骨折を受けたが、0から立ち直る。
パラリンピックのスキー選手では、健常だった片足の機能を失っても、工夫と練習で選手に返り咲く。
そのもう一方の足がだめになってもチェアスキーで復活する。
残された上半身を鍛えて補うことが出来たのだ。
 多くの場合、人間に与えられたはずの膨大な潜在的機能もまた、私の携帯電話のように使わずに終わらせているのだろうかと思うと、少し悲しくなる。


             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2010年3月20日更新


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