アーサーおじさんのデジタルエッセイ466

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第466 イタドリ、クズの戦い


 僕らの日本のススキ畑は、今やブタクサの黄色に変わったり、琵琶湖には可愛らしい銀色の小さな和魚の姿ではなく、ガツガツしたブラックバスが増えたりしている。
戦後の新橋や銀座に白人や黒人がうろうろし出したようなものか。
もちろん人種については露骨に差別はしないものだが、動植物についてはやはり外来種の侵食には、穏やかならざるものがないとは言えない。
それは私たちの過去の姿や故郷の風景がもう取り戻せなくなっていくことへの恐怖であろう。
 この敵視の視線はいかんともし難い。
 ガラパゴス諸島では幾度となく、侵入者としての生物が稀少生物を脅かしている。
たまたま人が持ち込んだヤギが野生化して、地元の小動物を追いやり、ヤギが膨大に増えた島もあるが、あれはどうなったのだろうか。
結局は強いものだけが世界を覆うのだろうか。

 しかし、不思議なニュースもあって驚く。
日本産の植物が世界のあちこちに蔓延(はびこ)り、欧米のあちこちでは悲鳴をあげているというものだ。
タデ科のイタドリ、クズやスイカズラである。
イタドリはシーボルトが持ち帰った。
クズは観賞用に米国へ。
そして巨大な範囲に広がった。
毎年の駆除に膨大な費用を掛けている。
不謹慎だが派遣された日本兵と考えれば、随分活躍していることになる。
最後の駆除が成功する時、硫黄島の戦いのようになるのだろうか。
どういう比喩でも、穏やかではない。
他者を受け入れる気持ちと、自己のアイデンティティを守る気持ちは、両立し難いものなのだろう。


             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2009年10月24日更新


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