アーサーおじさんのデジタルエッセイ439

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第439 香ばしい


 わたしはチョコレートが小さいころから好きだった。
それもゴディバみたいな高級品よりも、ささやかなピーナッツ入りのような単純なものが好きだ。
そういえば子供の頃は、デパートで台に積まれたふぞろいの三角形の板チョコをよく買った。
値段も不揃いで面白かった。
アーモンドチョコレートを初めて食べた時、「カリッ」のあと、「目の前の世界が変わる」ような味がして驚いた。

 この変化の感じは他の食物でもある。
紫蘇の葉を噛む時、自分が蝶のサナギになって、怪しげな緑の光に包まれるような感じになる。
山椒を味わう時も、全身が山里のひっそりした温泉の湯に浸され、毛穴が光り輝くような気がする。
温かいハマグリの汁をすすると、明るい朝の砂浜で遊ぶ子供になるような。
やはり世界が変わるのだ。
視覚的な人間は、「世界が変わる」というフレーズには、いつも見える世界の色や形が変わる、という発想をしているのだろう。
口の中のできごとが視神経などに影響するなんておかしなものだ。
 ところで、目の不自由な人には我々の想像を超える五感の能力があることが指摘されているが、こういう口の中の世界の変化はどう感知されるのだろうか。
光が舞い込むイメージや、青い海が押し寄せる感じなどではなく、どう「見える」のだろうか?

             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2009年3月6日更新


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