アーサーおじさんのデジタルエッセイ375

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第375 お盆過ぎは、死者が歩いている


 先ほど、商業施設の廊下を通っていると、休息用の椅子に座っている白髪まじりの壮年男性がこちらを見ているように思った。
知っている人だ。
挨拶をしようか・・そう思いつつも、どうにも誰だか思い出せない。
会社の誰か?
昔のお得意さん?
分からないなあ。
でも、結構知っている人には間違いない。
仕方がないので、目を合わせないようにしながら、通り過ぎる。
エレベーターに乗り込んだところで思い出す。
そう親戚のおじさんではないか。
久し振りだ。
十年以上も会ってない。
どうして?

そうだ、彼は亡くなっている。
じゃあ、会わなかったはずだ。
 挨拶しなくて悪かったなあ。
あちらからは挨拶できないのかもしれないのに。
エレベータの扉が閉まるまえに、振り返る。
シルエットだけれども久し振りにその横顔を見た。
うん、元気そうだ。
なんとかやっているのだろう。
こちらも、ま、なんとかやってます。
もう会えなくなった死者達がこうやって姿を見せてくれる季節も悪いものじゃあない。

             ◎ノノ◎。
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2007年9月1日更新


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