アーサおじさんのデジタルエッセイ34

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第34話 ローソクの灯


 ギラギラの太陽の下では、小さなローソクの灯を灯しても誰も気付かない。しかしそれは燃えつづけていることができる。そして、夕方になり夜の帳が降りると、場面は転換する。広い荒野なら何キロも遠くからでも、目印にすることが出来るだろう。

 「あ、灯が見える。助かった」ということもある。ところで、人は夢を見る。実は人は24時間続けて夢を見ている。昼間は入ってくる情報が多くて、それは霞んでいる。人の脳は入ってくる情報をせっせと棚に整理している。棚には名前が書いてあり、古い名前を持っている。「母」とか「つらいこと」とか「はちゅうるい」とか書いてある。

 脳はそれに一番近いものどうしを一緒にして仕舞いこむ。あれ、少し違うかな?と、入れ直すこともある。棚は頑固で、新しい名前をつけられることはない。

この作業プロセスが「夢」である。昼間は見えない。

しかし、ふと分かることもある。

こころにひんやり沁みる映画や言葉、気になる場面。

ある人の姿を注視する一瞬。随分と久し振りに、ある棚の中身が追加されるとドキッとする。

いくら理屈で思い込んでも、脳の棚卸作業は、ただ正直に地味にすすむ。

 だから、光が見えず悩んでいる人の心に、「夢」は進むべき道を照らしてくれることがある。


             ◎ノノ◎ 

            (@ ● @)zzZ

              ~

   「またお会いしましょ」 2000年11月8日


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