アーサーおじさんのデジタルエッセイ336
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む E駅の構内の花屋の前で待ち合わせ。
			M君はブロンドの長髪をなびかせて立っていた。
			その時22歳ではなかったか。
			ボルドーの出身である。
			留学で日本に来て以来、何度か訪れている。
			ホームステイのホストファミリーと仲間と一緒に会うことになった。
			なにかと面白い。
			何を食べようか?
			「何でも」。
			ではイタリア料理は?
			「うーん、チーズがかかっているとダメです」。
			え、フランスでもチーズを食べないの?
			「食べません」。
			それから、ボルドー出身と聞いて、ワインは沢山飲むの?
			「いえ、ダメです。飲めません」。
		

 『そんな奴おらんやろー!』と言われそうだが、本当なのだ。
			それから阿佐ヶ谷の居酒屋でアルバイトをしていた。
			もうすぐ帰国するというので、仲間で飲みに行った。
			店名の入った法被を着ている。
			ゴーヤーチャンプルなど運びながら、楽しそうに客の応対をしている。
			みんなで微妙な日本語を競って教える。
			「シラフ、思い込み、メリハリ、なーなー」など。
			彼はそのたびに携帯に記録する。
			あとで辞書で調べるのだそうだ。
			グラスワインをオーダーするのに誰かが「ソムリエ!」と呼ぶと、嬉しそうに走って来る。
			「今日のお勧めワインは?」と訊ねれば、法被姿で「そうですねえ・・・」と答える。
			勿論グラスワインは最初から決まった物だが。(※本人の文面確認済みです)
         「また、お会いしましょ」 2006年11月19日更新