アーサーおじさんのデジタルエッセイ334
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む むかし、九州の広大な敷地のテーマパークに行ったことがある。
			小さな娘を連れて、なんでも回れるパスポートを手に入れた。
			はるか遠くに巨大な観覧車やジェットコースターも見える。
			よーし、片っ端から片付けるゾぉ!まず、足を踏み入れるとショウをやる大きなステージがあった。
			そこでワンワン・ニャンニャンショーをやっていた。
			娘は大喜び。見物することにした。
			イヌ達が二本足で歩いたり、ネコが音楽に合わせて踊ったりとショーは続く。
			面白かったネ、さあ行こう、と言っても娘は「これ好き」と言って、席を離れない。
			ショーは繰り返して延々と続く。
			私はそわそわし始める。
			パークは背後に広がり、観覧車は遠くで回っている。
			そして時間は過ぎていく。
			数時間。
		

マップを見詰めると不安になる。
			もう、遠くまで娘を連れて行くと帰って来れないのではないか?
			娘を見る。
			笑ってはしゃいでいる。
			 そうか、彼女は満足しているのだ。
			それでいいのじゃないか。
			何かを理解した。
			私は安心してそのショーの席を、広大な敷地の一隅を温めることにした。
			 ここには生きる極意がある。
			ガイドマップを見て、欲張った計画を立てて「片付ける」ことは幸せなのだろうか。
			誰がそれを指示したのだろうか。
			疲れることがなくても、あー全部は回りきれなかった、と不達成感を持たされる。
			それは目標の高すぎる人生のようではないか。
			娘はその体全身の大きさで楽しんでいたのだから。
			
			             ◎ノノ◎
			             (・●・)。
			
			         「また、お会いしましょ」 2006年10月29日更新