アーサーおじさんのデジタルエッセイ331

日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む

第331 給料が三倍


 ある人が若いうちから転職して働いたそうだ。
大変な仕事だったから給料は前職の3倍もらった。
すごいねえ。
でも暫くすると、本人は疑問を感じた。
 さて、駅前で昔の友人に会ったとしよう。
「そうか、たいしたもんだ。
給料が3倍か。
お金も貯まったんだろう?」
「て、いうか使ったね。
3倍使ったのかもしれない」
「そりゃ、少しは派手になるだろうさ」
「あのね、3倍の給料。しかし結局、3倍働いたんだよ」
「うん」
「重要な時期に、家庭を顧みずに、3倍の時間と体力を仕事で潰した。その時間は戻らない」
「なるほど」

「それで手に入ったものは、ちょっとした満足感、豪華な食事や服。いつもランクが上の行動だった」
「いいねえ、うらやましい」
「僕の腹を見てくれ。ここに入っているのは、ステーキやフォアグラや大トロのような山海の珍味。出張はビジネスクラスでカクテルを傾けながら・・高級なものばかり。そうでなければコンビニ弁当だけれど。」
「すごい」
「何が手に入ったんだろう。3倍の無駄遣いをして、脂肪とコレステロールを溜めたんだ、お陰で近づいた」
「何に?」
「成人病、つまり死だね」
「・・・」
「これからは残ったお金を使って、取り戻す仕事をしなきゃあ、逆コースを歩むんだよ」
「変なもんだね、人生って」
「誰が望んだんだろう、この人生。これは人さまの作った人生だったんだろうね」

              ******

 それはどこかのカタログに書いてあって、つい魅せられてそれを選んだということだ。
あなたも他人のカタログから選んでないか振り返ろう。

             ◎ノノ◎
            (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2006年10月8日更新


日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む