アーサーおじさんのデジタルエッセイ325

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第325 オセロ・ゲーム


「黒の法則」。続いた好天気の間に、げんなりするような曇り、あるいは雨天が入り込むと、職場では一斉に女性が「黒い衣装」を着てくる現象。
以前のエッセイでその謎を書いたが、私の中では、既に一般法則と化しているようだ。
本日もそうである。久しぶりに雨で、隣の女性もあちらの女性も黒い衣装。
めったに黒を身に付けない人達が黒で出勤する。
 −−ところがである。−−
 ある女性がいる。
数ヶ月前から職場にいる派遣社員の女性で近寄りがたい。
なぜかというと背が高く、黒い髪がストレートで長く背中まである。
衣装はいつもスーツで全て黒。
パンツの足は長く伸びていて、廊下を歩くと夢のような細さと長さである。
どこかアダムス・ファミリーの奥様みたい。

瞼のアイシャドーだけが明るいブルーで目だっている。
他所の部に所属するから私は声を掛けたこともない。
その名前も覚えていない彼女の姿が遠目に見えた。
あ、白である。白い衣装。周囲の人間も驚いている様子。
そうか、これが彼女のアイデンティティか!
別に黒に統一した人生を送っているわけではなくて、「私はここにいる」というサインが彼女にとって「黒」だったのだ。
魔界との連絡がとれる彼女は、本日の「黒の法則」を了解していて、今日は自分を埋もらせないように、オセロをひっくり返したのだ。
「私はここにいる」は今日は「白」であった。

             ◎ノノ◎
             (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2006年8月20日更新


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