アーサーおじさんのデジタルエッセイ317

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第317 ダヴィンチ・コード料理


 とあるスペイン料理店のカウンターの片隅に、帆立貝の殻が数枚、転がっている。

大人の手のひらの甲の部分くらいの大きさである。

照明のせいかキラキラとして見える。

なんで置いてあるのか。

注文された帆立料理から出た屑だろうか。

屑なら、なぜ片付けてないのか。

 簡単な連想をすれば、これはスペインに関連するシンボルである。

スペインが位置するイベリア半島は、青年の横顔似ている。

その青年の額のところにガリシア地方があり、前髪に隠れてサンチャゴ・デ・コンポステーラという町がある。

ここはヨーロッパでは有名な聖地であり、世界から多数のカトリックの巡 礼者が訪れる場所である。

なぜか。

中世時代に奇跡があり、聖ヤコブの遺体が見つかったといわれる。

巡礼は11世紀にピークとなり、現在もフランスを基点とする4つの巡礼路から人々が集まる。

さて、その巡礼者には、旅路での援助を請う必要もあり、目印が決められている。

それが特徴のある帽子、そして首から提げる帆立貝の殻である。

納経帖を持って、スタンプを押してもらうところは日本各地の巡礼札所と同様である。

フランスの各地で、帆立貝をぶら下げた巡礼姿にぶつかることがあるだろう。

 すると、帆立貝の殻はガリシア地方の暗号となり、ガリシア地方の豊かな魚介類を連想させる。

で、「尾島さんのハモン・セラーノ」や「いわしの酢漬け」に加えて「ガリシア風の蛸」をオーダーする。

それを食べながら、確か十二使徒の一人である聖ヤコブ(サンチャゴ)は、ダ・ヴィンチの最後の晩餐のどこにいたのだろうか、と考える。

まことにカトリックには、暗号と奇跡が“てんこ盛り”なのである。



             ◎ノノ◎
             (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2006年6月3日更新


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