アーサーおじさんのデジタルエッセイ310

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第310 おじさんのくすり


 男たちも青春を抜け、長い時間を経過した頃には、更年期、倦怠期と言わずとも、勢いをうしない人生を味わいにくいそれなりのマンネリズムに入るかもしれない。

つまり青春の波風が過ぎ、こうやって静かに凪がやってくると、美しく見えたその表面にも塵芥(ちりあくた)が漂っているのが分かる。

ああ、これは幼児期、あるいは少年期にやり残した宿題のページではないか、あるいは消化し損ねた課題、苦悩、恨みの破片。そうか、そんなものから逃げていたのかも知れない。

激しい波頭は刺激に満ちた日々を形取ってくれていた。それに酔っていられたかも知れない。

 酒や色事に走らなければ、グルメかゴルフに走るかもしれない。

いや、それももうコレステロールの数値や、疲労の蓄積で敬遠し始めているのかもしれない。

そうして気が付くと、会社の帰りに何故かやたらに、本屋に寄っている。

平台のベストセラーを眺めたり、NHKのテキストの値段を見たり、地図やアウトドア雑誌もパラパラとめくってみる。

少しは仕事のハウツーも気になるが、あれやこれや買い散らかしたり、あるいは買わなかったり、本屋が少年の頃の駄菓子屋、文房具屋のように我らを受け入れる。

私達は知らないうちに「本屋依存症」などで人生の後半をしのいでいるのかもしれない。




             ◎ノノ◎
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2006年4月16日更新


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