アーサおじさんのデジタルエッセイ271
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進むわたしの小さな頃に、地方都市のお城の公園で「勧業大博覧会」があったのをかすかに覚えている。
祭りの見世物小屋のあつまりみたいなものだろうか。
ぞろぞろ並んで館(パビリオン)に入る。
どれもぺらぺらの仮設の空間である。
壁は布の幕。板の台になにかが並べてある。
各国の代わりに、各県の産物などあったのだと思う。
沖縄なんて外国のようだった。
それだけで十分珍しかった。
並べるだけで人は驚き、喜んだ。こどもだった私には分からないものが多かった。
広場には自衛隊の戦車があって、抱きかかえられて乗せてもらった。
雨が降れば足元はぬかるんだ。
遠い田舎から老人達も出てきた。
みんなおにぎりを昼食に持参して食べた。
全体として、モンゴルかチベットなどで見られる大規模なバザールの一日、みたいなものだったんだろう。
並んだ電話ボックスのような、電子計算機という「未来の機械」があって、小さな穴がたくさん開いた紙テープを吐き出していた。
それを何メートルかもらって、しばらく学校で自慢していた。
ワープロや計算機が市場に登場するのは、二十年もあとの話である。
博覧会にはまだマスコット・キャラクターなどなかった。
「モリゾー」がまだ若く、森から追い払われていた頃なのだろう。
「また、お会いしましょ」 2005年7月17日更新