アーサおじさんのデジタルエッセイ260
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む洗面所で手を洗っていると、洗面台の横に何かゴミがある。
薄い透明の物。ああ、誰かが外して置いたソフト・コンタクトレンズである。
むかし、これを外している人を見るとうらやましく思ったものだ。
どうしてかと言うと、「彼は、いま目のウロコが落ちたのだ」と思ってしまうからだ。
僕らは人生の中でときどき、何かを習得しようとして苦労し、先達のアドバイスや人の言葉でふと目覚めることがある。
一生懸命押し続けてもあかないドア。
真っ赤になって、もうドアを叩き壊そうかと思う時、通り掛った子供がスッとドアを引いて見せる。
これでいいよと。「目から鱗が落ちる」時である。
力み過ぎてなにも見えなくなっていたのだ。
ソフト・コンタクトなら、毎日好きなときにウロコを落とせるのだ。
しかし、彼らはウロコを外すと「外界がぼやけて見える」のだ。
ウロコを着けたほうが世界がはっきりと見える。
そういう立場もあるのだ。
ふーん。
「また、お会いしましょ」 2005年4月24日更新