アーサおじさんのデジタルエッセイ256

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第256話 睡魔せん


 春×老化×疲労=大睡魔。

むかしから春は眠かった。朝がつらくなる。ほんとにほんとに苦しい時もあった。

目覚まし時計の音は、速い錐の回転で側頭に切り込む。

うるさい、ではなく、イテテイテテという感じで迫る。

最近は睡眠が浅く、寝不足でさらに苦しい。

胃が眠ってて空洞感がうずく。何をしていても、突然にぐぐっと眠気がやってくる。

「ディメンターに魂を引っ張られるハリー・ポッター」のように、精神とアイデンティティを失う瞬間がやってくる。

パソコンを打っていても、書類を読んでいても、そいつが忍び込む。毛穴や筋肉の細胞膜から、瞬時に青酸カリのように呼吸を止め、筋を弛緩させる。

 

老化は不思議で、そういうものへの対抗力を弱めもするが、老練に馴染んだ顔を覚えてもいる。

まあまあ、どうぞと座布団でも出すように、巻き込まれつつも、なんとか捩じ伏せようとしているのが分かる。

会議やスライドの上映中にふらふらしながらも、肩でも回している風を装いながら、立ち直る。「うむ」と書類を見直す風情を整える。

なんと、ぎりぎりセーフの質問まで行う

。しかしかなり危ない。企画を見ながら言葉が浮かぶ。

「3枚、たたんどきましょう」「親戚が来ますから」どれもふさわしくなさそうな質問である。

うまく回避する。せいぜい「来週、もう一度検討させてください。かなり難しいですから・・・」などと老獪に切り抜ける。

 

 

             ◎ノノ◎
             (~●~;)


         「また、お会いしましょ」 2005年3月27日更新


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