アーサおじさんのデジタルエッセイ255
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進むノーベル賞作家、ガブリエル・ガルシア・マルケスの国、コロンビアから「エメラルド王」が来日した。
わたしは偶然会うことができた。
コロンビアはゲリラとコカイン密輸で名の知れたアマゾンのある国。
奥地は政府の治安の行き届かない無法地帯。
そのジャングルの鉱山を開発し、とうとうエメラルド取引で成功した日本人である。
彼は自分の半生を映画にすることをもうひとつのロマンとした。
1940年生まれ。
60年代、早田英志氏。
凄まじい治安の中で泥だらけの鉱山から、不正を好まず、日本人でトップのエメラルド宝石会社を育て「エメラルド王」と呼ばれた。
なぜそんな国に魅せられたかというと、「開拓時代の西部」のようだったから、と言う。
現地でのロケはゲリラの危険の中で行われた。
予算が無いので銃も本物、発砲も実弾で行われた。
後半は、(危険を恐れて)役者がいないので本人が出演。
映画館内の明かりが灯ると、カウボーイハットに革ジャケットの彼自身が登場して話をしてくれた。
でもそこには、銃を所持し、誘拐や戦闘を潜り抜けてきた強持ての男ではなく、ニコニコし、人の良い『ラーメン屋の親父』のような男性がいた。
背も高くはなく、決してかっこいいカウボーイには見えない。
わたしは彼と話をし、昔から知っているような身近さを感じて驚いた。
これが実在する『ラスト・サムライ』であった。(18日までシネセゾン渋谷03(3770)1721)
「また、お会いしましょ」 2005年3月20日更新