アーサおじさんのデジタルエッセイ230
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む信州でも、今年は熊が民家に入って来て大騒動になっている。
裏の山のどこか森深くに棲んでいるらしい。
突然来るから困ってしまう。
防ぐ方法はないのか。
出来ることなら、大きくて長い壁でも作れたらいいのに。
夏休みということで中国に行ってみるとそんな大きくて長い壁があった。
秦の始皇帝のずっと前の時代から作られていた。
匈奴、どこから、いつ攻めて来るか分からないから、山の険しい峰の部分を縫う屏風のように築かれた長城。
行ってみるといきなり胸突き八丁で急勾配である。
段差はマチマチで上りにくい。
膝に来る。
お年寄りが苦しんでいる。
なんでバリアフリーに作らないのか。
それもそのはず、長城がもともと「バリアー」なんだった。
この大きなバリアーに守られて北京の街がある。
この大陸はずっとこうだった。
陸続きの世界の中心は、どこから誰が攻めてくるかわからない中心でもあった。
彼らは大きな壁がないと安眠できないのだ。
日本の古里は海と山に囲まれ割合に安心である。
私たちには心の底に平和がある。
遠くに居る者に敵対心をあまり持たずに生きていける。
やって来るのは熊くらいである。
「また、お会いしましょ」 2004年9月19日更新