アーサーおじさんのデジタルエッセイ207

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第207話 私はときどき「タマゴッチ」


その生き物は、餌を与えないと死んでしまう。ときどき遊んでやんないと病気になる。

お菓子を与えたり、話掛けないと良く育たない、病気にもなる。

病気になると薬をあげると治る。

と言っても、棲んでいるのは「画面」の中。

餌も薬も「デジタルの信号」。

ふうん、変なの。

信号の世界に生れ落ち、信号の中で感情が成立するのだ。

ところがどっこい、人ごとではない。忙しく疲れ果てた日に限って、メールがない。

いやメールはあるが、事務用語の漢字が並んだ奴か、IT関連のカタカナのタイトルばかり。

なんだ「業務メール」か。

せっかくこちらは、せっせ、せっせと一文を送ったのに、何の反応も返って来ない。

うー、体のどこかで飢えが呼ぶ。

誰でもいい、何でもいいから「信号」送ってよ。

「お腹が空いたよ」と、アナログ体のはずの私が、デジタルの餌を欲しがっている。

偶然に餌をたくさん貰うと、とても元気でニコニコになる。

これ、きっと皆あるのではないか?

知らない間に、我々人間のほうが本物の「タマゴッチ」になったのだ。

だからあのおもちゃも、売れなくなったのだ。


             ◎ノノ◎   
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2004年4月4日更新


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