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第20話 沖縄の秘密


 僕はある事情から、家や会社に転がっている雑誌の写真を切り抜いたりしていた。 何度も吟味して選び抜いたものをスクラップするのだ。今でも残してある。様々な写真。

 その中でも溜息の出るものに「海底もの」がある。原色の珊瑚礁。ダイバーが捉えた竜宮 城の映像である。僕はそれらを見る度に深い溜息をつく。

 何故だろう。沖縄。太平洋の 沖合いの沈没船。海底は恐ろしく、美しく、惹き付ける。思えばライトを焚かない本当の 海底には色彩は無い。

 魚は暗闇を泳ぎ、深海の生物は目が無くなる。珊瑚礁の色はそう いう意味で人工的な映像かもしれない。

 その点では、人体の内臓図に似ている。原色の 臓物達は赤・緑・紫に畝って腹部を泳いでいる。血管は青く赤く珊瑚のように枝を張って 伸びていく。胃カメラ映像の美しい輝きは、深海の探索に似ている。

 白保の海は肺のよう に水を出し入れしている。揺れ泳ぐ熱帯魚の群は、白血球の群のようだ。全て意味のある 複雑さは人を惹き付ける。人の体の奥にはきれいな見えない海底があるのだろう。

             ◎ノノ◎
            (・●・)

     「汗を舐めたら、塩辛かった」 2000年7月27日


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