アーサーおじさんのデジタルエッセイ196

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第196話 軍服のビジネスマン


社員食堂で驚いた。大きなテーブルで並んでランチを食べる若い社員の一団である。全員がすべて黒のスーツ。おじさんと違い髪は長い。あの“マッシュルームカット”が並んだ印象である。まるでそこにあのデビュー当時のビートルズが三組くらい並んでいるように見えたのだ。

私の新人の時代は、背広はカラフルだった。誰一人、同じ色・柄の背広を見ることはなかった。(しかし私も今や黒のスーツを着込んでいる。)

かつて、ある企業の猛烈なビジネスマン幹部が、いつも黒いスーツでいて、自分の背広を「軍服」と呼んでいたことを思い出した。つまり、若い彼らも、黒い制服となった軍服を着ているのだ。誰がそれを指示したのだろう。会社が?社会が?見えない誰かがそれを要求し、彼らは従ったのだ。このように世界はセルフ管理化が進んでいる。フセインでも誰でもない。自由世界は、個人のファッションを許すと同時に、その自由の場所を制限した。自由の場所が限りなく広がると、人は自ら制服で自分を示して見せる必要があるのだ。

そうでないと、自分が別なものと誤解されたり、排斥される。本当に自由だと思い込むことは、危険だと分かっているのだろう。

             ◎ノノ◎   
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」 2004年1月18日更新


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