アーサーおじさんのデジタルエッセイ192
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む地球温暖化現象を考えると、冬は寒くて当たり前だと思う。けど、今朝は北風が冷たくて「ビューッ」と吹く。わ、寒い!マフラーを強く巻き直し、厚い手袋を嵌める。
数年前、寒い毎日がとろんと暖かく感じる冬を過ごしたことがあった。
その冬は、ある一冊の本を読んでいたからだ。本の著者は東北の一農業経営者であり、内容は『シベリア抑留記』。彼が終戦後シベリアで拘束されていた頃の、彼の地での強制労働の記録であった。
1ページごとに飛び出す「寒さ」を表わす言葉。零下50度とか、ブリザード、吹雪の抑留者行軍とか、餓えとか、凍りついて「槍状になった便」で臀部を大怪我する話とか、やはり凍った列車に触れて手が剥がれなくなる話とか、恐ろしい低温の世界での日々。
読むたびに息を付き、本を読んでいる自分の居る場所が生ぬるく温かく感じられて、北風も涼しく心地よかった位だ。
後半に、日本への引き上げが間近になり、零下40度の場所に移動させられた時、その暖かさに皆が風邪を引いてしまった話がある。
人間の体は低温で風邪を引くのではないという事が分かる。「予想」で構えた「作戦」が裏切られた時にダウンするのだ。
あるいは、気が緩んだ時かも知れない。
もうすぐ、日本!と敷いた布団に跳び込むように倒れたのかも知れない。
暖かい日本は、2020年までに、1990年値で10%のCO2排出量削減が出来るのだろうか。
「また、お会いしましょ」 2003年12月15日更新