アーサーおじさんのデジタルエッセイ182
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む昨日、文具店で買い物をしていると、地震があり、揺れた。
1995年1月17日の朝、会社に来た日、エレベーターの中で「今朝、神戸で地震があったらしいね」と人が言ったのを思い出した。「じゃ、知り合いに電話してみよう」と考えていたら、テレビで神戸が燃え上がっているのが映っていた。驚いた。電話なんて通じない。もうどうなっているか分からない。知人は長田区であり、連絡がとれるのは1週間以上も後のことだった。さらにその昔、毎日地震が続いたら、小笠原諸島西之島沖の海底から新島が生まれたことがあった。こういう事を繰り返して、地球は動いて来たのだ。大陸移動説というのもある。日本の近海には深い海溝がある。それが地底の亀裂である。仕方がない、日本はそこに立っているのだから。
しかし僕らの人生も、地層の奥底にそういった深い亀裂を持っていることがある。それぞれの人生はその事情から離れられない。僕のすぐ側に深い海溝がある。普段は忘れて暮らせるが、折りに足元が揺れる。手摺りも何も無い。不安に揺れているしかない。その変動が恐ろしい被害をもたらすか、新たな島を生み出すのか、いずれにしても僕らは、永遠に不変で安定して生きていける訳ではない。中国では宇宙を目指して人が飛び立った。僕は、自分の中に探査船を静かに降ろして、その深い青い海溝の正体を見詰めなければならないと思っている。
「また、お会いしましょ」 2003年10月19日更新