アーサーおじさんのデジタルエッセイ160
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む街並みを突っ切って走る郊外電車で遠くに森が見えると、友人が立っているような気分で眺めている。
樹木と僕は、親戚なのではないかと思ってしまうことがある。
明るく深い緑色、美しい木の形を見ていると、何か不思議な親近感を覚えてしまうからだ。
そして数百年を経た老樹の幹のうねりや、それが集合して風に揺れ、吠えている森の“樹平線”を見ることの楽しさと、一種の哲学的な受容感にいつも囚われる。
“海岸の砂や、潮風の匂い”。“森の草や、松脂の匂い”。これらは「ヒーリング」に満ち充ちている。
ビジネスで疲れ、静かな休暇が必要なとき、あなたは「海の別荘」と「森の別荘」とどちらを選ぶだろうか?
−−海が好きな人、森が好きな人、2種類の人間がいるかも知れない。
レオナルド・ダ・ヴィンチが描く木々のデッサンは、深い探求心に充ちている。
そして「水」を描いている時は、川や氾濫の観察であった。彼は「森」派だったかもしれない。
そして現代は「海」派が増えたようだ。
キムタクも海派である。
一方は「白鯨」「海底五万マイル」ヒトデや真珠。
かたや「ロビンフッド」「となりのトトロ」どんぐりやリス、いろんな世界が広がっている。
深い海を怖がる人。
深い森を怖がる人。
もしかしたら、好きなものの反対に怖いものがあるのかも知れない。
「また、お会いしましょ」 2003年5月11日更新