アーサーおじさんのデジタルエッセイ159
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進むバンコク空港を下り、都心部に着くと、異国での最初の昼食を取ることになる。
現地法人の友人が、タイスキの店に招待してくれた。
「さあ、タイ料理が、好きか嫌いかは、この“パクチー”が食べられるか、食べられないか、で決まります」と言う。癖のある香草である。
私はタイ料理は好きであり、料理=幸せ、の方程式の解のひとつである。
しかし嫌う人は嫌うらしい。日本の納豆、ヨーロッパのブルーチーズのようなものか。
しかし、なんと言っても「くさやの干物」ほど、すごいものはない。
最近は姿を見ない。
昔、飲み屋でそれを注文する人がいた。
最初は、ふうん、と気にしなかった。
ところが、焼き始めたとたん、店中がすごい匂いで染まって行った。
それはそれは形容するのも“はばかる”ような種類の匂いであった。
もう店を飛び出すしかない。
が、驚いた。
注文者は嬉しそうな顔をした。
僕はその時、考えた。
世の中には「くさやを好きな人」と「くさやを嫌いな人」の2種類がいて、その間は無いのだろうと。
これほど厳しい峻別はないだろう。
こうやって、『人類を区別させてしまう素材』というものが、一体いくつあるだろう。
フセインを好きな人、嫌いな人。
石原慎太郎氏を好きな人、嫌いな人。
叶姉妹を好きな人、嫌いな人。
しかし“くさや”はこれら以上だろう。
「また、お会いしましょ」 2003年5月4日更新