アーサーおじさんのデジタルエッセイ144

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第144話 好きな話にこんなものが


ロシアのツンドラが解けて、マンモスが出てきた。という話がある。

わあ、どうしたものかと発見者が思う。連れてった犬が、うーわんわんと吠えて、そいつを齧る。

なんだかうまそう。出てきた足を削って、持って帰ってステーキにしたら、牛肉と同じでおいしかったという(20世紀)。

いいなあ。こんな芸当、僕には出来ない。すぐ科学的な判断基準が『おい、よく見ろ』とか小うるさく出て来そう。

19世紀のパリの画家(モネ、マネ、ゴッホ他)達は、日本の陶器などを包んでくる版画の反古氏に驚いた。ぐしゃぐしゃに詰められた紙は浮世絵だった。

俺を食ってもうまくねえよ!

ここから印象派へ東洋の影響が始まる。彼等はこぞって包み紙のほうに興味を持った。江戸じゃあ、はやりすたれの古雑誌みたいな存在だったのだ。

古い家屋のふすまの下張りにも、反古氏が使われて、時々重要な古文書が発見される。歴史的人物の手紙などで歴史の一端が明かされる。しかし奈良の遺跡などが工事で発見されると、よく近所の人の話が載る。

小さいとき地面をよく掘れば、皿や刀が出てきたので、それでちゃんばらをして遊んだという。うわ、贅沢。

フランスの洞窟で、ボーイスカウトがボランティアで落書き消しをして、知らずに何万年前の壁画を消したという話もある。これも贅沢な失敗だなあ。

空腹の人がシーラカンスを釣っても、「あ、これは!」のあと「うまそう!」と続くのだ。いいなあ、そんな子犬の感覚。−−マンモスのステーキ、シーラカンスのカルパッチョ。


             ◎ノノ◎
             (・●・)

      「また、お会いしましょ」 2003年1月19日更新


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