温泉案内39　大沢温泉(おおさわおんせん)　山水閣(さんすいかく)　　平成17年1月1日

温泉の三要素：

１.湧出量：（毎分）　４５５リットル　

2.泉質：単純硫黄泉　ｐｈ9.2

3.泉温：５１度

　平成１7年は岩手の名湯「大沢温泉」から始めます。

　岩手県花巻市には最近の掘削した温泉を除けば花巻(はなまき)温泉、台(だい)温泉そして南花巻温泉郷があります。
花巻温泉は大型温泉ホテルを主とした団体旅行客向けの観光温泉です。
台温泉は古くからの鄙びた温泉場で花巻温泉がこの台温泉から引湯しています。

		至る盛岡

　花巻南温泉郷は豊沢川に沿った温泉場で、入口に松倉温泉、志戸平(しどたいら)温泉、渡り温泉、大沢温泉、鉛(なまり)温泉、新鉛温泉など合計七つの温泉場があります。山の神温泉は倒産により随分前から閉鎖されたままでしたが、今年１７年にはオープンする予定だそうです。

明治１９年に刊行された「日本鉱泉誌」では花巻南温泉郷のうち志戸平、大沢、鉛の３温泉のみ記載されています。つまり

さて、日本鑑定温泉案内３９話は平成１7年初春にふさわしい岩手の名湯「大沢温泉」からスタートします。

昭和５年の日本雄弁会講談社刊「日本温泉案内」の名文にお付き合い下さい。

電車が志戸平温泉を離れると、豊沢川の渓（たに）は次第に深くなって、山嶽（さんがく）左右より襲って渓を圧殺せんばかりに迫る。電車は道極まってしばしば渓を横切りつつ、山へ山へと登って行くと、冷冷たる嵐気（らんき）はサッと車窓に流れ込んでくる。
電車の停留所から一町足らず坂を下ったところが、旅館の玄関口である。
　旅館は豊沢川の渓（たに）に面し、志戸平とは違い合名組織の経営である。渓向こうの崖下にも客舎があって、その間に古風な橋が架かっていたり、その橋の袂（たもと）には湯瀧（ゆだき）のある浴場があったり、その他、数カ所に大小の浴槽が棊布（きふ）して、滾々（こんこん）たる湯の漲（みな）ぎり溢れるのは壮快である。浴客たちは各自に思い思いの湯壺に浸って、悠然（のんびり）と浮世をわすれ、幾日か過ごすことの出来るのも、恁（こ）うした静かな環境なればこそである。
旅館：大沢温泉旅館。１泊２円乃至２円５０銭。自炊は室料１日１人２５銭以上４５銭、食費とも１円内外で上げることもできる。

現在でも同じような雰囲気が味わえるおすすめの温泉場で、宮沢賢治が幾度となく訪れた源泉掛け流しの温泉としても有名です。

平成１７年元日の写真です。昭和５年に書かれた「日本温泉案内」にタイムスリップするような、名湯であることがこの写真でもおわかりいただけるかと思います。

　大沢温泉は一つの温泉場ですが１．山水閣、２．菊水館、３．自炊部の三つに分かれています(経営は一つ)。山水閣は客室５７、宿泊３００名、菊水館１７室、６０名、自炊部５７室、２２７名となっています。

• 山水閣はホテルタイプで二間の部屋でも平日は２食付きで１２，０００円で関東なら２５,０００円以上のきれいな部屋です。
• 菊水館は木造旅館で平日は２食付きで６，０００円、湯が好きな人におすすめ、連泊して名湯が楽しめます！
• 自炊部はもちろん自炊もできるのでが平日２食付きで４，２００円。
  
  
• 但し入湯税及び消費税は別途です
  

湯をだいじにする温泉ならではの料金です。

　湯は、１．大沢の湯(大露天風呂：混浴)、２．薬師の湯(男女各１)、３．豊沢の湯(男女各１)、４．山水の湯(男女各１)、５．山水の湯露天風呂(男女各１)、６．貸切家族風呂と一泊では入りきれないほどたくさんあります。

　次の頁でそれぞれの湯の写真をお見せします。