平成12年12月4日更新
温泉物語第4話は、黒川温泉物語、今世紀最後の温泉物語です。
黒川温泉は、熱海や別府などの大温泉街と比べると、わずか23軒の小さな温泉街ですが、いま日本で女性に一番人気の温泉街です。
第1話の鶴の湯温泉(秋田)、第2話の中房温泉(長野)、第3話の玉川温泉(秋田)と一軒宿の温泉が続きました。
第1話の鶴の湯温泉は女性にとても人気があります。しかし、女性人気の日本一は、何といってもこの黒川温泉です。
夕方、黒川温泉の下川端通りを歩く女性客の多さに驚いてしまいます。女性が2、3人連れで何組も露天風呂めぐりをする温泉街は、いい湯鑑定団の知る限りここ黒川温泉だけかも知れません。
外輪山から望む阿蘇の雄大な景観 | |||
もちろん若いカップルも多く、山奥の温泉町なのに華やかな雰囲気が感じられます。休前日、休日は半年も前に予約が一杯になってしまい、うらやましいほど女性に好かれる温泉街です。もちろんパチンコ屋などの娯楽施設は一軒もありません。
黒川温泉は、熊本市の中心街、熊本交通センターからバスで2時間20分の小国ゆうステーション下車。ここで1日7本の黒川温泉行きに乗り換え40分ですから、片道3時間半以上のアクセスです。行くだけで大変な、こんな僻地が、どうしてこんなに女性に好かれるのか、わかります?
深山幽谷の雰囲気満点の黒川温泉。田の原川沿いの温泉街。 | |||
ご存じのように、団体旅行や社員旅行中心の大温泉街からどんどん観光客が離れ、全国の温泉街は人を集めようとやっきになっています。
もちろん大温泉街も様々なキャンペーンで集客力を高めようと涙ぐましい努力。
しかし、1日に何百人も泊まる温泉旅館では、いかに努力したところで、湯も食事も似たものになり、客は飽きてしまいます。
では、小さな温泉旅館が客に好かれるのでしょうか?
小さな温泉宿中心で人気があった湯布院は、高い価格設定で料理に凝って集客する方法でバブル期に人気を博していました。しかし、長引く不況の今日、明らかに行き詰まりつつあります。
理由は簡単です。都会ではそれなりに「いい料理」が、手ごろな値段で食事できる和食料理店が随分と増えたからです。
夕食でも5,000円程度で、それなりの会席料理が楽しめます。湯布院では酒が入れば2万〜3万円、引き算で「湯」が1万円以上?
絶景ならいざ知らず、楽しめる景色に乏しい湯布院では、もともと高価格設定に無理があったのではないでしょうか。辛口でごめんなさい。
というのも、この黒川温泉にも湯布院に似た温泉宿がで始めており、歴史は繰り返すのではと危惧したからです。たぶん杞憂でしょう。
いい湯鑑定団は、職業柄、なぜこの温泉に、こんなにたくさんの宿泊客が訪れるのか、その魅力は何なのかに、いつも興味を持って取材してきました。人気のある各地の祭りと、いい湯は共通する事柄が幾つもあります。今後の温泉物語で「集客力」について詳しくふれて行きたいと思っています。
いい湯は、まだかいって? お待たせしました。 とっておきのいい湯、黒川温泉のすべてにご案内します。