アーサおじさんのデジタルエッセイ94

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第94話 スロー・ライフ


どうしても、人生の限界を考えずにはいられないことがある。語学の勉強である。かつて仕事上、通訳を雇うのがいやで英語の辞書を読んでいた時期がある。

「どんなことであろう、10年持続すればその専門になれる」という人の言葉に従って、10年という間、暇な時には英語を読んだ。専門家にはなれないが、たしかに外国人モデル撮影には通訳が要らなくなった。でも10年間(プラス就学期間)で一体、いくつ単語を覚えたというのか?

人間には、絶対的な時間との折り合いがある。外部の「物質や信号」が、体内に取り入れられる速度がある。若い時にはそれがわからない。急ぐことをする。

読書しましょ!


水の表面は柔らかいが、飛び込む速度では凶器にもなる。また凍傷にかかった体をいきなり温めると、細胞は死ぬ。何時間も冷たい手でさすって温める。体内のメトロノームの音に合わせる必要があるのだ。今、別の言語に挑んでいる。辞書を2冊買いこんで、たまに読んでいる。

何千ページもあって、一日に1ページの十分の一くらいしか読めない。そして読んだだけではその9割8分を思い出せない。2000ページとして、毎日続けても20000日で、やっと一冊分読める。読むだけで55年かかる計算だ。というわけで目

眩がする。でも、めまいはするけど、ぜんぜんやめないところが、僕のいいところ。辞書の厚さを触りながら、残りの人生と行き着かぬ果てを思い、めまいに酔っているのである。

             ◎ノノ◎
             (=●=)
              川川川
   

      「また、お会いしましたのー」 2002年1月21日更新


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