アーサおじさんのデジタルエッセイ83

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第83話 織物である歴史


朝の交差点で向かいにそびえるビルディングと、行き交うおびただしい車を見つめると、限りなく様々な人生の断片がその場に居合わせ、交錯している一瞬であると、いうことを感じる瞬間がある。

これ以上うまく言い表すことができない。

次の瞬間、時間は過ぎ、場面は変わり、オフィスでキーボードを叩く時、先ほどの交差点は過去のものとなり、既に頭の中で整理されている。

それは固められ収められている。

しかし先ほどまでは、何が起こるか分からない場・瞬間であった。

多様な可能性や無限の蓋然性があった。

心臓発作、目の前での交通事故、後ろから知人が声を掛ける。

忘れ物を思い出す、ミサイルが落ちる。
心の織物


しかし、ある形に織り込まれていく。

これが人生であり、歴史である。

一体、そこにどんな可能性が潜んでいたのか?それを考えず、日々を織り込んでいく。

なにものにも囚われることのできないあの混乱した複雑な状況というものは、人類の原初の匂いがする。

まだ言葉の無かった、伝統も法も文化も無かった世界の匂いがする。

何かが生まれそうな気がする。




             ◎ノノ◎ 
             (・●・)
              

        「 また、お会いしましょう」 2001年11月10日更新


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