アーサおじさんのデジタルエッセイ78

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第78話 彼岸の演奏


お彼岸というので、お墓参りに言った。ピカピカの墓石が増えている。

キラキラの上天気の中で、蝋燭を灯すのはなんとも言えない風情がある。

お線香の束に火を点けるとき、しばらくしてから、ボッと炎が上がるときがある。

これを「霊が来た」という。

アメリカでは「フラッシュバック」という現象だ。

墓石に水を掛ける。

なんだかお風呂に入れる感じである。

お水もあげる。

缶ビールがあがっているところもある。

お経も一種の音楽


いままで、幾つもの法事に参加したが、そのプロセスでユニークだと思うのは木魚である。

肉まんの片側を潰したような、巨大な楽器。僧侶が最初に叩く瞬間が待ち遠しい。

かーーーん、と鐘を鳴らしたあと、おもむろに「ポック」とくる。

是非一度叩いてみたい。

大きくて重厚なものは、「ボッ、ボッ」と頭蓋骨に響く。

僧侶は声を出しながら、右手で木魚を打つ。

シンバルが入れば、ロックになる。

なんだかいいなあ。

実際、高野山の真言宗では、シンバルと同様の金属を数枚重ねた鳴らし物を操る。

「ジョワワーーン、ジョワーーン」と鳴らし、音楽を生み出す。

ほとんどコンサートである。

ロックのお客さんは「個人の集合」だが、法事のお相手は「故人の集合」である。


             ◎ノノ◎ 

             (−●−)

              

    「 また、お会いしましょう」 2001年10月7日更新


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