アーサーおじさんのデジタルエッセイ529

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第529 身を捧げるものたち


 フランスへのツアーでのこと。
オルレアンでレストランに入った。
皿に盛られたバケツ一杯ほどのムール貝を見てご機嫌になった。
けれどもスプーンもフォークも見当たらない。
ウェイターがやってきて、ムール貝の食べ方を教えてくれる。
まず一枚の殻を外す。
それを使って器用に貝の中身を剥がして口に運ぶ。ついでに汁も吸う。
要するに食器の節約のようだが、漁村風の食べ方だとすればオツでもある。
 これに似たことがあったはず。
そう、蟹を食べるのにその鋏の尖ったほうをもいで身を掻き出すのに使う方法がある。
まぐろやぶりを三枚に下ろした後、背骨の間の中落ちを手近な貝殻でこさぎ落として食べる漁師もいる。
 これと似たことが人間界にもあったはずだが、思い出せない。
ま、おいおい思い出そう。
 そういえばフランスのジョゼフ・ギヨタン医師が開発を指示した「ギロチン」で本人が処刑されたという話があるが、これは単に都市伝説のようだ。

 パエリアを作る時に、魚介類(海老、イカなど)は最初にボイルしていたほうが良い。
サフランも少なめのお湯につけておくといい。
茹でた魚介類は皿にあげておくが、この「茹でた残りのお湯」を捨ててはならない。
ニンニクやタマネギを炒め、お米を投入した後でたっぷりと注ぐのに必要だからだ。
むしろ、そのためにダシをとったようなものだ。
 もともと世界はエコである。
人は素材を最大限に活用する。
そうそう、農家が収獲したお米を収納するのもそうだ。
その昔はワラを上手に編んで、一俵という単位の「米俵」を作って入れた。
稲の部品で米を包んでいるのだ。
味わい深い話ではないだろうか。


             ◎ノノ◎   
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2011年2月5日更新


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