アーサおじさんのデジタルエッセイ50

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第50話 坂道


いきなり、いつもは動いていないビッグ・クライアントからの依頼で、ほんの数日で企画書を作らなければならないことになった。
話を聞くと少しおかしい。
条件が曖昧だ。営業の顔も"曇って"いる。

『ははあ、ボランティアの資料提供だな…』しかし、断れない。
徹夜で間に合わせなければならない。

目的地が見えない。

それを決め、しかし間違ったら傷になる。「やれない」と言うことはできない。
表向きは"仕事"である。
社内に理解を求める道はない。
いずれ上から、提案の"成果"を問われる時がくる。利用されている…かもしれない。

夢を見た。

−急な坂道で自転車を押している。何だかたくさんの荷物を載せている。着いところは人が大勢立っている断崖である。

その崖下は深い森である。縁に押しやられる。
柵があるが、根元が壊れている。
崖から少しでも離れようとすると二人分の男の手が強い力で、私の体を押し留める。

夢は正直で、体が感じている通りの状況を再現する。

春は眠い。

今朝は眠いが、昨日、とりあえず誰にも傷をつくらず提案を終えることが出来た。

夢の中で、並んで自転車を押している人もいた。

自分だけが苦しいわけではない、ということ。

            ◎ノノ◎。 
            (・●・)。

   「春なのに、クラいなあ」 2001年3月17日更新


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