アーサーおじさんのデジタルエッセイ44
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第44話 亀のしっぽ
棚の上から整髪料のスプレー缶が滑り落ち、亀が「棲んでいる」タライの水の中に落ちた。バシッと大きな音がした。水が撥ね、亀は驚いた。僕も驚いた。あわてて缶を取り出した。
そこには、いつもと違う「亀の甲羅」がある。体の全部を引き込んで、二枚貝のようになった甲羅があった。いつもは豊か過ぎる食生活で、首の回りもだぶだぶと3重あごのようになり、甲羅の中に引っ込めきれないはずの首や足がその中心に固められている。亀の心臓はドクドクと激しく波打っているのだろうか。
二枚貝を持ち上げて(20センチはある)覗くと、首も遠いところに隠れている。手も足も出ない。思えば、冬になるとあんまり餌を食べないので痩せているらしい。それで、命を賭けて引っ込んだんだから、すごい。おい、大丈夫だよ。
イスラエルに突然落ちたミサイルみたいに恐怖だったに違いない。いいなあ、お前、殻があって。そこがお前の逃げ場なんだね。僕らはどこに逃げるんだろう。今の世の中、逃げ場のない人もいる。
この寒さを凌げない人もいる。エクアドルでは瓦礫の中で救助がされている。沖に出れば、ガラパゴスが油でまみれて仲間の象亀やペリカンにも危機が襲っているようだ。
災難続きのエクアドル。亀の固くてプットリした可愛いシッポ。そのとき、どうなっていたのか思いだせない。残念だ。引っ込んでいたのだろうか?
◎ノノ◎ !
(・●・)
「またお会いしましょ」 2001年2月10日更新
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