アーサーおじさんのデジタルエッセイ386
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む ある地方都市で、忙しいお昼にオフィス向かいの喫茶店でスパゲッティ・ミートソースをよく食べた。
			味はよかったが、ひとつ欠点があった。
			それはソースが少ないことだ。
			白い麺の上の赤茶色のソースはアツアツの湯気をあげて良い匂いをさせているがスープに近いやわらかさなので、麺のジャングルを通り抜けて、皿の底に落ちてしまう。
			それをなんとか絡めとりながら食べるのである。
			しかし、どうしても皿にスープは残る。
			もっとたくさんソースがあればいいのにと、不満でもあった。
			 そんなファンの要望に拘わらず、不思議なことに麺に盛られたソースは、年々次第に減っていった。
			ささやかなトッピング。
			麺ばかりでうまく食べなければならない。
			何故、量が減らされるのか。
			文句を言うお客になりたくないので結局言わずじまいになった。
		

 それから数年後、理由に思い至った。
			シェフはソースの適量を探っていたのではないか。
			客が帰って、引かれる皿にソースが残されている。
			「これはソースが多すぎるのだ」そう思い、減らしてみる。
			しかし、また残されている。
			「ちゃんと麺と一緒に食べて欲しいのに、まだ多い」と減らしてみる。
			客はなんとか少ないソースで間に合わせる。
			それでも、皿にはどうしても残る。
			過度に適応という行為が進む。
			しかし。シェフは理解してくれない。
			一回自分で食べてみればいいのに。
             ◎ノノ◎。   
			             (・●・)
         「また、お会いしましょ」  2007年11月17日更新