アーサーおじさんのデジタルエッセイ365

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第365 鳩のカップル


 高層のマンションの上層階である。強い風が吹くとどこかでカタカタとカスタネットのような音がする。
一晩中続くこともある。
先日、寝ていると「グルグル・・・」とお腹が鳴る。
なんだか違和感。
妙だなと思いつつ、うつらうつら。
また「グルグル」、あれは聴いたことのある音だ!そうだ、自分のお腹じゃないぞ、鳩の鳴き声だ。
寝室の横の窓の外には、人の出れないベランダある。
深夜であるが窓を開いて覗き込めば、そのベランダに鳩が二羽うずくまっているではないか。
 以前、違うマンションのベランダによく鳩が来るなと思っていたら、巣を作り、卵を産んでいたことがある。
そこら中に白い糞と羽が散らばっていた。
片付けるのが大変であり、同時に鳩には気の毒でもあったのだ。
 ああ、この夫婦(?)にはどうにか引き払ってもらおう。
こんなに深夜にホロホロ鳴かれたら、睡眠が取れないし建物が不潔になるから。
しかし今は夜、トリ目の彼らを追い出すのは無理だろう−−案の定、少し威嚇してみたが、決して動かなかった。

 朝が来た。
 鳩の夫婦はどうしただろう。
窓を開けると、ベランダには2〜3枚の羽を残して誰もいなかった。
そうか、もう出勤したのだ。
私も同じようなものだ。
出勤するのだ。
ベランダにちょっと細工を施して、もうそれ以来、ホロホロの声は聴かない。

             ◎ノノ◎。
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」  2007年6月9日更新

 ※週一のエッセイが365回、七年になりました。


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