アーサーおじさんのデジタルエッセイ353

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第353 回転体本能


「馬から落ちて落馬した」という表現があって、意味の重なりとして笑われたものだ。
他にもある「頭痛が痛む」。
これはどうだ。
愛人を愛する、結婚して結ばれる。
魅力に魅かれる。
海の海賊。受賞を受ける。
極限を極める。
東京に上京する。
そんなにおかしくはないかもしれない。
 ところで私の住んでいる地区は飼い犬の多いところである。
公園には子供の数に劣らず、紐の後に飼い主を従えたワン公が大勢現れる。
最近は「裸」の犬をあまり見かけない。
裸の犬、とは地毛のみの犬のことである。
以前はTシャツを着たワン公にも随分と抵抗を感じた。
そして雨の日は透明や黄色のレインコートを着るのである。
ルイ・ヴィトンの店で犬の餌皿と毛皮のベッドを見た。
もちろんブランド各社で犬の衣装を販売し始めているようだ。
いまどきは、何も着けていない飼い犬は、見た目に寂しい気もする。

こちらがおかしくなったのだろうか。
先日は、とうとう黒いムク犬が豹柄の衣装を着けて歩いていた。
兎や猫の着グルミをかぶったプーさんの人形がある。
あんな感じだ。
犬を偽ろうとしているわけでもないが、妙な遊びである。
犬もとうとうペットになった?のか。
こう書くのも、「ペットでない犬」を知っているからだろう。
鎖でつながれていない犬。
タイでは野犬の群が健在であった。
羊の群れのように集まり、走り回っていた。
 レインコートを着ない犬は、家に入ると全身をブルブルさせて雨粒を吹き飛ばす。
あれは見事だ。
誰に教わったの、その技術。
犬というのは回転体である能力を有している。
私にはそれは愛すべき姿なのである。


             ◎ノノ◎。
             (・●・)。

         「また、お会いしましょ」 2007年3月25日更新


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