アーサおじさんのデジタルエッセイ217
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進むゆったりと、重く、しかし浮遊して流れる夢のしっぽは、そこから離れたくない感情があることを示している。
これまでやむを得ず残してしまった中途の出来事を、きまぐれな人生のバイパスである夢が運んで来て、ぼくは戸惑っている。
数字のついた2004年の日の朝が始まって、もうすぐ目覚ましがぼくの頭を叩くだろう。時計の針に合わせて、歯を磨き、エレベーターに乗り、電車の吊り革に下がらねばならない。
分かっている。
でも、誰も認めないかもしれないけれども、これは私の「遣り残した宿題」だったのだ。
身体と金色の魂の、奥の奥に入り込んでいて、どんな言葉を使っても、誘い出すことができなかったものなのだ。
今、ここに、ここまでやって来た。久しぶりに語り、言葉を聞きたいのだ。
そのしっぽを擦り、愛撫して、それが何だったのかもっと知りたいのだ。
あの頃のぼくは、考える力が無かったのかもしれない。
誰かが邪魔をしていたのかも知れない。
これはぼくの生命の始源に関わっていて、結局逃げることができない項目なのだ。
そう思うだけで、はるかな懐かしさと、千年も眠り続けた子供が喜ぶ声が聞こえて来る。
ぼくは自分を殺して、「また、必ず、来るから・・」と握り締められた手を振り解き、そこを去る。
そこに行けるのはまた、何年かかるのかも分からない。
「また、お会いしましょ」2004年6月13日更新