アーサーおじさんのデジタルエッセイ150

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第150話 成長するアナウンス


僕の好きな映画のタイプに『成長物語』がある。「ロッキー」がそうだし、「ウォーター・ボーイズ」も、「ピンポン」もそうだと思う。最近目立つものでは、「少林サッカー」が面白かった。

好きなところは、なんらかの動機を持って、エクササイズに励むうちに、どんどん変化していくプロセスを描くところである。

クサって愚痴を言ったり、落ち込んだりしているうちに、ある時、目覚めるのである。

「スパイダーマン」でさえ、目覚め、練習を積むことで“スパイダーマン”になれた。

最近、驚いた。朝の駅のアナウンスである。女性の声が朗々と流れているのである。

あっ。あれは彼女ではないか。なんと「気がつかない」ほどのプロのアナウンスになっているのだと。

実は数ヶ月前に、駅のホームに新人が数人投入されて、混雑する朝のホームで、ベテランから怒鳴られていたはずだ。声は震え、目は泳いでいた。

制服は板につかず、試着室から出てきたようだ。先輩から「あっちのドア!!」と閉まらないドアに走らされ、人を押し込む姿も恐る恐るで頼りなかった。

そんなことではラッシュ時は捌けない。アナウンスも「不適切な言葉」であったりした。実にたどたどしくも微笑ましい光景である。

それが一日、一日と慣れて様になってくる。どんどん変化しているのだ。

それはいつか自然な現実の風景と摩り替ってしまった。

こういう時間の経過に、僕らは心の片隅で、自分と重ね合わせ、励まされる。


             ◎ノノ◎
             (^●^)

         「また、お会いしましょ」 2003年3月2日更新


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