アーサーおじさんのデジタルエッセイ131
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暗い森の中を歩いているうちに、僕は自分自身の記憶を歩いていることに気が付かなかった。
		
独りで歩いていると、脳の受信装置は以前の情報に一生懸命アクセスし、時間を超えて接続されていた。
		
長い間、山登りをしなかったのだ。
		
過去にあった山登りの記憶に繋がって、何時の間にか僕は大学生に戻っていたのだ。
		
それは「おばちゃんたち」に出くわした時に感じたのだ。自分の姿は学生だった。
		
若々しい大学生の登山者が、いい年のおばちゃんたちに話し掛けたのだ。
		
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「もう少し行くと、ひらけてて、花が咲いてるよ」と言われて、「はい、じゃ行ってみます」と答えたのは、青年だったのだ。
		
太陽の光が見えた場所で登るのを諦めて、同じ道を下り始めた。そしてさんざん苦労をしながら、下界に下りた僕は自分の姿を取り戻した。
		
そこには、おじさんが立っていたのだ。
		
一つ目の気付き。独りで歩いていると、自分の姿は見えない。自分の好きな時代に戻れる。
		
二つ目。人生には先の見えない地図しかない。ほんのそこまでしか書いてない。
		
その先、頂上があるのかどうか、誰にも分からない。どこにも着かないことも
		
あるだろう。
          ◎ノノ◎
							          (・●・)
			
		
         「秋の雨はさびしいなあ」 2002年10月12日更新