温泉事典第4巻 温泉新聞 7月号 2002年10月27日更新
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- 「心とからだを癒す四国遍路と温泉の旅」石川理夫(いしかわ・みちお)著、宝島社新書179、2002年7月24日第1刷発行、223頁、定価800円+税。
- 観光経済新聞(2002年7月6日1面)に、長野県田中康夫知事が「県内のホテル・旅館の格付け実施を検討」。1月の県主催の観光研究会で、「アンケート調査によるとサービスの低下が否めないので、ランク付けで競争を促進、サービスの底上げを図ろう」という提案が出されているが、賛否両論で推移してきた。格付けを実際に行う場合、公平な評価基準づくりが難しい。田中知事はフランスの「ミシュラン・ガイド」と同様なものを、と前向きな姿勢を示しているもよう。
- 観光経済新聞(2002年7月13日7面)に「内湯の洗い場が畳敷き」。臨泉閣柏屋別荘(長野県上田市別所温泉)では、館内浴場の洗い場に畳みを敷き、利用客から「滑りにくく安心」「温かみがある」「柔らかく気持ちいい」と好評。同館ではさらに「浴槽の中にも畳を敷きたい」意向。この畳は福井県のメーカーが同館のために開発。水にも温泉にも耐性がある化学繊維を使い、変色、腐食の心配もなく、掃除も簡単という。
- 観光経済新聞(2002年7月6日1面)に「ヘルパー付き温泉旅行」、仙台市が企画。仙台市は「温泉宿泊ホームヘルパー派遣事業」を9月から実施する。宿泊費は自己負担だが、ヘルパー派遣費用については、「本来の額の約一割の負担。市が九割を持つ」もの。温泉地を利用した介護事業は珍しい。7月1日から旅行客の募集開始。二泊三日の日程で秋保(あきう)温泉の岩沼屋、作並(さくなみ)温泉の旅館岩泉の2旅館が受け入れる。旅行費用は一人当たり2万円〜2万4千円(6食、税、サービス込み)。
温泉場のサービスとしてはいいアイデア、今後この種のサービスは増える。温泉作家:簾田章夫コメント
- 「温泉教授松田忠徳の日本百名湯」松田忠衛(まつだ・ただのり)著、日経ムック、2002年6月24日発行、191頁、定価905円+税。
- 「カラー版温泉教授の日本全国温泉ガイド」松田忠衛(まつだ・ただのり)著、光文社新書0452002年6月20日初版第1刷発行、422頁、定価1,200円+税。
- 朝日新聞(2002年6月18日37面)に『温泉の「湯」5つ星評価−協会が新制度導入』が掲載された。6月18日静岡県熱海市で開かれた財団法人日本温泉協会の総会で温泉を5段階評価する「星マーク」を近く全国の温泉につけることが決まった。
マークの対象は約2万軒のホテル、旅館、保養所、公営浴場などのお湯で、素案では学識経験者らでつくる「日本天然温泉審査機構」(仮称)が審査する。
源泉入浴か、引き湯か、循環式かなどや浴槽の管理状態といった25項目を総合的に評価して、「一つ星」から「五つ星」までを決める。協会は「星マークは目安であって、宿の格付けではない。温泉ブームの中で、信頼度を高めるのが目的だ。温泉選びの参考にしてほしい」と語っている。
- 日本経済新聞(2002年5月26日17面)SundayNikkeiスクープ欄に「イメージと違う温泉の現実」が掲載された。日本人がいかに最近の温泉の実態を知らず、昔からの温泉のイメージを幻想として持ち続けているかをわかりやすく指摘している。その内容は以下の通り。
- 多くの人が思い描く温泉は「浴槽に満たされる湯は源泉だけで、湯は使い捨て、湯槽からあふれ出るほど潤沢で24時間いつでも入れる」というイメージである。
- これに対し現実の姿は一度使用した湯を濾過、消毒し、時に水道水を加えたり加熱したりして再利用する方式が目立つ。水質の管理が厳しいので、湯に塩素消毒などをしているところも多い。
- 浴槽に源泉の湯だけを満たし、あふれた分は使い捨てる掛け流し方式と入浴による体の垢や髪の毛、ゴミなどを濾過し消毒薬剤を投入して湯を使い回す循環式の2つに大別されるが、管理や加熱が容易なことや湧出量が少なくても効率的に浴槽に湯を満たすことができるので、循環方式の温泉が急増している。
- 循環式の温泉ではレジオネラ菌による集団感染や死亡事故が繰り返されおり、厚生省の指導が強化されたことにより塩素剤投入による消毒が一般化した。しかし「塩素で逆に肌を傷める(温泉評論家石川理夫氏)」、「塩素を加えれば泉質によっては何らかの化学変化もありうる(理学博士甘露寺泰雄・中央温泉研究所長)」など、塩素消毒に疑問の声もある。
- 温泉が足りずに大量の水道水や地下水を加えたり、源泉100%といいながら同じ湯を何日も循環させて再利用するために塩素消毒を繰り返すのは「消費者に対する一方的な裏切り(札幌国際大学温泉学教授松田忠徳氏)」という鋭い指摘により、循環方式の問題点も利用者に知られるようになってきつつある。
- 循環方式は1960年頃からあったが、1987年に成立した総合保養地域整備法(リゾート法)や1988年の「ふるさと創生」事業の1億円ばらまきによる「一町一湯」ブームによる大深度掘削による循環式温泉が急増し、清掃や消毒がルーズなためレジオネラ菌による死亡事故が幾つか発生し、循環式温泉が社会問題化した。
- 現在の温泉は、掛け流し方式・循環方式のいずれであるかを利用客や宿泊客にほとんど情報公開していない。循環方式の場合は客に分からないようにし、掛け流し方式であるかのように客が錯覚させている温泉場も多い。
- こうした状況を踏まえ、社団法人日本温泉協会が温泉の浴槽の情報開示を目指し始めた。「利用者が理解した上で湯を選べる体制を整える(寺田徹事務局長)」ように、掛け流し方式や循環方式を明示することを検討している。
- 1948年に公布された温泉法は、湧出口の源泉の温度や成分により温泉か否かを定義しているが、源泉がそのまま100%浴槽に満たすことを前提にした時代のままであり、ほとんど改正されずに今日に至った。循環方式が主流になった現代の温泉の実態を利用者もはっきりと認識する必要があり、いつまでも温泉に対しあいまいなイメージを抱き利用し続けるべきではない。
- 〔いい湯鑑定団のコメント〕
- 日本人は医薬効能が高いことから温泉の治癒力を深く信仰してきたが、高度成長期に団体客向けの温泉旅館が林立し、過剰汲み上げによる源泉湧出量の減少や枯渇などが頻発したため数多くの温泉場が循環方式へと移行した。
- 利益のみを追求し、温泉が自然資源であることを無視した乱掘により、循環方式に頼らざるを得なくなったものである。
- 源泉を大切にしてきた温泉場では、医学の進歩した今日でも難病を癒すために訪れる人々が多い。源泉を大切にし、入湯客にも親切な温泉場は、その多くが湯治場の温泉であり、循環方式の心配がない。
- 湯治客が訪れなくなった温泉場は、団体向けの循環方式に移行した温泉であり、医薬効能がない公衆浴場であることをはっきりと認識する必要がある。
- 長野県渋(しぶ)温泉の古久屋に「福六の湯」がオープンした。これは古久屋が所有する6つの源泉をそれぞれまぜることなく6つの湯船に注ぎ込み、純粋な源泉の効能が楽しめるもの。これにより内湯が8、湯船の数が13になった。草津温泉が「泉質主義」を宣言してから、源泉を大事にする動きが強まっている。
- 岐阜県「新穂高温泉」は露天風呂「山峡槍の湯」に新しく大露天風呂をオープンした。鎌田川を望み、正面には北アルプスの槍ヶ岳の景観が広がっている。広さが500平方メートルあるスケールの大きな露天風呂で一度に200人が入浴できる。
- 東京都武蔵村山市に「村山温泉かたくりの湯」が4月28日オープンした。温泉入浴ゾーン(和風・洋風浴室、露天風呂、打たせ湯、低温・高温・水風呂、イベント風呂、サウナ風呂)、休息ゾーン(レストラン)、スパ(温泉プール)ゾーンに分かれている。泉温22.9度(沸かし湯)、泉質:メタ硼酸、地下1,500mの大深度掘削によるボーリング泉。利用料金:平日大人700円(子供350円)、休日大人800円(子供400円)、市内在住者は一人100円引。営業時間は10時から23時(最終受付22時)。休館日は毎月第3月曜日(祝日の場合は翌日)。駐車場完備。ゴールデンウィーク中は、30分待ちの賑わい。なお、温泉スタンド(セルフ)が併設されており、100リットル100円。200円で家庭風呂を充分満たせるので、自宅で源泉100%の湯を楽しみたい方にはオススメ(スタンドは18時まで)。所在地:武蔵村山市本町5-29-1、Z042-520-1026
- 静岡県下田蓮台寺温泉の清流荘に古代ローマ式サウナ「テルマリウム」が4月25日オープンした。2000年前のローマ浴場の入浴スタイルを現代風に再現。大理石などの豪華なサウナの集客力や如何?
- 温泉法が一部改正され4月1日に施行された。平成13年6月27日に公布された温泉法の一部改正する法律が平成14年4月1日から施行された。主な改正点は1.温泉分析機関の都道府県知事への登録制の実施、2.温泉分析等の掲示の事前届出制の実施、3.温泉掘削等の許可失効の手続きの迅速化。
- 秋田県乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」が、平成14年度岩切章太郎賞を受賞。一生に一度は泊まりたい名湯の詳細は→「鶴の湯温泉物語」
- 「ひだみの温泉風土記」下畑五夫(しもはたいつお)著、岐阜新聞社刊、平成14年4月15日発行、199頁。
- アエラ02.4.15「温泉に塩素が入っているとは」…「循環風呂」が増えて、掃除が減って、ゆっくりのんびりとお湯につかって、いい気持ち。体もツルツル。と思っていたらそれは塩素のせい。そんな温泉が増えてしまっているという。なぜ。「アブナイ温泉を見分けるポイント」も解説。松田忠徳温泉学者の反塩素づけ循環風呂キャンペーン。(第15巻16号通巻750号)
- 「温泉で健康になる」飯島裕一(いいじまゆういち)著、岩波アクティブ新書22、2002年4月5日発行、700円…帯には「心を和ませ、疲れをいやし、体調を整えてくれる温泉の上手な活用法」とある。
- からだにいい「現代湯治の宿〈全国版〉」ブルーガイド編集部、実業之日本社、2002年3月25日初版発行、247頁、定価1,460円…いい湯がたくさん載っているお薦めのガイドブック。
- 新編「みなかみ紀行」若山牧水(わかやまぼくすい)著、池内紀(おさむ)編、岩波文庫、2002年3月15日発行、緑52-2、600円…中公文庫が品切れで再刊が望まれていた。
- 「温泉考」原雙桂著文化書房博文社刊(2002年2月27日発行)…温泉医方叢書第四楫。
- 「草津温泉が丸ごとわかる本」えい出版刊(2002年3月1日発行)…草津温泉の全てを解説。
- 日経新聞3月24日日曜「スクープ」…温泉旅館不況の実像(最近の団体旅行向け大型温泉旅館の不況とその実態を詳しくレポート)
- 「日本の熱い温泉と地熱」土井和巳著フジ・テクノシステム刊(2002年1月24日発行)…各地の温泉場を地質学的にわかりやすく解説したお薦めの一冊。
- 「温泉と日本人」増補版、八岩まどか著、青弓社刊、2002年1月22日第1版第1刷発行、228頁、定価1,600円
- 「温泉教授の温泉ゼミナール」松田忠徳著光文社新書No.20(2001年12月20日発行)
- 「地域文化No.59信州の温泉特集」(八十二文化財団)…杉浦日向子、小沢昭一の放湯談義、年表で見る「温泉に歴史あり」、湯治場事始め、温泉本来の力を文化に、マグマのエネルギー(2001年12月28日発行)
- 「混浴主義」八岩まどか著、小学館刊、2001年12月20日第1版第1刷発行、254頁、定価1,500円
- 「ああ、温泉」種村季弘とマニア7人の温泉主義宣言、種田季弘編、アートダイジェスト刊、2001年12月15日初版第1刷発行、215頁、定価1,500円
- 文士温泉放蕩録「ざぶん」嵐山光三郎著、講談社文庫あ43-9、2001年12月15日第1刷発行、431頁、定価695円
- 「温泉ができるまで」五味省七著、信毎書籍出版センター刊、2001年11月1日発行、88頁、定価1,429円
- 3月11日(月)から15日(金)までJR東京駅丸の内北口ドームで日本温泉協会主催の「旅と温泉展」が開催された。会場では雑誌『温泉』3月号や温泉地の粗品などの配布、また後日抽選で温泉券プレゼントなどの企画をはじめとし全国各地の温泉場のパネル紹介とパンフレットの配布などを行った。
- 例年温泉旅行に関するアンケートを実施し、そのデータは雑誌『温泉』に掲載され、温泉旅行の目的や人気温泉地の変遷がよくわかる貴重なデータとなっている。
- 44回も続けられた企画であるが日本温泉協会主催のイベントとしては物足りなさを感じる。ホンモノの温泉の紹介や解説あるいは最近増加している循環風呂への警鐘などに踏み込んだ企画を望みたい
- 3月12日(火)から15日(金)まで東京ビッグサイト(東展示棟)で「第30回国際ホテル・レストラン・ショー」の特別企画として「温泉・風呂・浴場商品開発支援フェア」が開催された。日本温泉協会の温泉管理の最新情報紹介や相談コーナー開設、温泉地の紹介などをはじめとし、「温泉浴場の衛生管理」に関するセミナーも開催され、温泉関係者のみならず一般消費者の関心をも集めた。また会場には温泉や風呂に関するあらゆる商材・サービスが展示され、近頃になく熱気を帯びたイベントとなった。
- 温浴施設の集客法や衛生管理に関して特設セミナーが開催されたが、出展企業の自己PRに終始し、内容に乏しいものであった。
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