温泉日記26 四万温泉 積善館本館 平成13年2月24日更新

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群馬県四万温泉・積善館本館 平成13年 1月2日

21世紀の初入湯は四万温泉に決めた。正月休みに久しぶりに読んだ若山牧水の「みなかみ紀行」に少なからず影響されたのかも知れない。

牧水は大正十一年十月、草津温泉、花敷温泉に各々一泊し沢渡温泉まで来て、…此処に此儘泊まろうか、もう三四里を歩いて四万温泉へ廻ろうか、それとも直ぐ中之条へ出て伊香保まで延ばそうかと二人して迷ったが、終に四万へ行くことにきめて、昼飯を終わるとすぐまた草鞋を穿いた。…(みなかみ紀行)とある。

しかし当時は三四里の徒歩は当たり前だったのだろうか。ちなみに牧水は驚くほどの健脚だったとか。

積善館・本館 写真
積善館絵図
積善館・本館の写真及び絵図

 大正時代に遡ったついでに大正9年鉄道省発行の温泉案内により四万温泉を紹介してみよう。「四萬とは、山口、新湯、日向見の三ケ所の総称ではあるが、其中心となって栄えているのは新湯である。

 何れも無色透明の塩類泉で、温度百六十度乃至百八十三度、慢性胃病、リューマチス、皮膚病、脳病などに特効がある。此処は海抜二千五百余尺、山巒四周の地で、西に高野、東に水昌の翠巒あり、渓流其間を走って一区をなしている。

…山峡渓水の美と旅館の設備の完全と相いまって、上毛温泉中の白眉として喧伝せられている。・・・」そして、近隣の道路事情、鉄道、馬車の便等懇切丁寧なガイドが続く。

積善館・本館「元禄の湯」
積善館・本館「元禄の湯」アーチ型の窓が大正ロマンの雰囲気を感じさせる。

今回入湯した積善館本館の「元禄の湯」(国登録文化財・群馬県近代化遺産)は大正ロマンを彷彿させるアーチ窓と温度の違う五つのお風呂や蒸し風呂が人気の四万温泉を代表する湯。本館は日本最古の旅館建築(元禄四年建築、群馬県重要文化財)。

四万温泉地図

群馬県吾妻郡中之条町四万温泉

電話0279-64-2101(代)

入浴料金:1,000円(4時間まで) AM10:00〜PM5:00

宿泊:7,500円〜

交通:新特急上野駅から2時間9分中之条下車バス40分タクシー20分

車:関越自動車道渋川IC R353(39Km)60分


1992年現在の湧出量毎分3,100リットル、源泉温度新湯83.0度、日向見64.5度、山口59.8度。

明治19年刊日本鑛泉誌によると新湯に旅舎3軒、山口に旅舎4軒、日向見に旅舎2軒。年間入浴客数4,133人。

大正9年温泉案内によると新湯に積善館、賽陵館、日向見に日向見館、山口に山口館、鐘寿館の5軒、室数約600、収容人員約2,000人。

昭和14年全国鉱泉調査によると14軒、客室数695、収容人員約2,778人。193,313人。

                  温泉作家 簾田彰夫(★★★)


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