レオナルド・ダ・ヴィンチ素描集「草花の習作」
Studies of a flowers Venice,Accademia. 「草花の習作」 ヴェネツィア,アカデミア蔵 |
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灰色の紙にペンとインク。18.3cm×20.3cm。1483年頃の作品。弟子メルツィの習作とする説もあるが影の斜線から見てレオナルドの作品である。
<レオナルドの言葉>
少女達 ヨーロッパのある都市を歩いたら、こんなことに驚いた。私の感受性では映画のヒロインでもあるほどの「美女」がそこら中をなにげなく歩いているのだ。ハリウッド映画には負けないと思われるスマートな美女たちが、シャギーや捲き毛やワッフルだったりして、ふわふわと歩いている。 実際ハリウッド映画には必ずしも美しいとは思えない女性が少なくない。映画を見終わる頃には好感を持つことになるが、美人ゆえに気に入るという訳ではない。それに比べれば、しょっちゅう当たる宝くじのように贅沢な街ではないか。 私は舞い上がり幸せになる。街の角を曲がる度に、ちょっと別の世界の美女に切り替わる。青春ドラマにぴったりの美女。激情的な長い髪の女。静かな雰囲気のヒロイン。冒険に飛び込む女性。大人のセンスが光る黒。悩んでいる若いスポーツウーマン。切れ味のあるキャリアウーマン。人間を同じカテゴリーに入れてみても、こんなにひとりひとりが違う世界を持っている。そしてその話法で語り掛けてくる。 すべての同じ名前でしか呼ばれない物達が語り掛けてくるひとつひとつの「おはなし」を聞いてみることは、すべての始まり。レオナルドは物達の饒舌な「おはなし」を飽きることなくスケッチにしている。 |