アーサーおじさんのデジタルエッセイ542
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む うーーん、今日はエッセイを書く日じゃないか・・こ、困ったな。
このところ、地震関連の感情を抱えた内容が続いている。
この辺で少し違うトーンで書きたいのに、何も考えていなかった。
何かふわふわした世界や、色や匂いのする世界に触れて書きたいと思うのだが、ま、ヒントを失っているようだ。
オフィスは節電で暗い毎日。
まるで大正時代の煉瓦作りのビルで仕事をしているみたい。
この変化がなければ、オフィスは電気が煌々と点いているのが普通になってしまっていたから。
昔、田舎に行けば夕方を過ぎると、漆黒の闇が訪れたものだ。
ああ、それは宮澤賢治がしばしば描く夜の世界である。
ぐるんぐるんと闇が騒ぐ。
何もかもが墨汁の底に沈む。
滝の喉笛だけがごうごうと唸って恐ろしい夜。
朝の帝国がやって来るまで、眼が輝く夜行動物以外、にんげんは縮まってぶるぶる震えているしかない。
けれどやがて朝がプラチナの白光の騎士を送る。最初の光は剣の切先であり、そのどろどろの黒々のマントを切り裂いてくれる。
すると人の時間が始まる。
闇の動物の声は、鳥や虫の道化た騒ぎに入れ替わっていく。
山や森の姿が現われるが、まだ色づいていない。墨絵のようにまだ眠っている。
それでももう誰が何と言おうと、ひとの赤い血がどぶどぶと動き始めるのを止められない。
人が立ちあがると、まず鼻腔に届いて来たのは、草があくびをした大量の青い匂いであった。
新聞とテレビを捨てて、すこし深呼吸をしてみたいものだ。
◎ノノ◎
(・●・)
「また、お会いしましょ」 2011年5月15日更新