アーサーおじさんのデジタルエッセイ402

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第402 四谷の風


  東京に住んでいる人は「四谷」と聞いて、高級住宅地とか上智大とか思い浮かべるだろうか。
 私が18歳で上京した時、国電に乗ってある駅で「よつやあ〜、よつやあ〜」というアナウンスを聞いて、ホームの「四谷」という文字を見たとき、近くに恐ろしい屋敷があると思って身の毛がよだった。
そこにはとても足を踏み入れることは出来ない気分がして、早くドアが閉まればいいと思った。
こんな場所に住んでいる人がいる事が信じ難かった。
地方の高校生にとって四谷は、ヒュードロドロの「四谷怪談」以外に使用される言葉ではなかったのだ。
そして江戸時代以来その呼び名の地名で「済ましている」ことも不思議であった。

 地名というものは遠くに住んでいる人の頭の中では、単純なイメージで構築されている。
現実的な情報は存在せず、典型イメージがガラスケースに格納・展示される。
 そういえば「ローマ、と聞いて連想するものは?」と大勢の人に訊いたアンケートがあり、断トツの回答は、映画「ローマの休日」であった。
ローマは白黒画面であり、ベスパが走り回るのであろうか。
旅行をして現実のローマを知っている人でさえ、時間がたつと白黒に戻るようである。

             ◎ノノ◎。
             (・●・)

         「また、お会いしましょ」   2008年3月15日更新


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