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第4話 窓枠の外


新潟で長い監禁から解放された少女が、両親とドライブに出掛け、雪の山の中で三人で雪投げをしたとあった。

 「もっと外にいたい」という娘の言葉を聞いて、父親は目標を見出したかもしれない。なにもかもが始まるという感触だろうか。

 これに似たことを思い出した。「アンネ」の言葉である。2年ばかり屋根裏部屋に隠れ暮らしていたアンネ一家が、ゲシュタポに発見され,引きずり出された時、アンネは「捕まったことよりも外に出た喜び、収容所に向かう道のりでも、景色の美しさに見とれていた」ということが書かれていた。

 こちらは美しくも、切ない。理性よりも人は動物のように外に出たがっている力が大きい、と言える。

 たんぽぽの花にもパラシュートがつけられ、遠くに飛んで行く。種は遠くへ弾けようとする。とうとう生物には足が生え、動物となって遠くへ歩く。人間は、遠くへ行く生き物なのです。

 どんどん行こう。お昼ごはんは外に出掛けよう。隅田川はうらうらと人を誘う。足が不自由な人は車椅子がある。じっとしていると、「どこでもドア」をあこがれる。そう、僕は「どこでもドア」の夢を見ます。


             ◎ノノ◎
            (・●・)

 「では、またお会いしましょう。」 2000年3月22日


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