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第24話 あめ色の塩の道 


 たとえば塩分が過剰になった死海。この波打ち際にはまっしろな塩の浅瀬が広がる。寄せて集め干して固める。鋸を入れると大理石の薄板のような「塩の板」が出来あがる。これを痩せた黒い男達が持ち上げラクダの背中に運ぶ。ラクダに預けた瞬間「あー重かった、らくだなー」というか、言わないか?

 ま、これは流通させる商品としては最適の形をしている訳だ。古代からアフリカ大陸を横断して反対側の地域に運ばれ取引された。これを「塩の道」という。これも1枚の写真を発見することから僕の頭の中の旅も一歩進んだ。ある国の紹介のパンフで発見した写真。砂丘の波間を紐で繋がれたラクダの隊商が歩んでいる写真。よく、よく見れば、その背中には、確かに重そうな飴色の板がくくり付けられている。


 これだ!長―い時間を経て、僕は「塩の板」に巡り合った。ほんとうだったんだ!市場では一枚一枚が撫でられ、眺め回され、値段の交渉がされる。色や粗さ、含んでいるミネラルの状態。遠い所からやってきた調味料の大理石の取引である。主婦達は久しぶりの「大取引」に腕を震わせる。

 誰か教えて欲しい。どんな板なのか。どんな感じで家の中に納まっているのか。どう使っていくのか。アフリカの子供達はこう言うのか?「おかあさん。やっぱりうちの塩が一番おいしいねえ!」

       (ぼくの塩のおはなし?)

             ◎ノノ◎
            (・●・)
              
       「今日は、額からも塩がとれる?」 2000年8月23日


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