アーサーおじさんのデジタルエッセイ153
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む会社の話。
スタッフが110人くらいいる局は、かなり自主的な運営が可能だからその局長は、中小企業の社長みたいなものだ。傲慢に威張ってもやっていける。
逆らう部下はほとんどいない。その局長と飲むことになり、いろいろと(多少気遣いながら)話す。
そのうちに彼の目蓋がしょぼしょぼと閉じ始める。
連日、連日飲み会や接待。一生懸命、目をひらいているようだ。
「局長、睡眠取れてますか、お疲れじゃないですか?」「そうなんだよ、睡眠不足なんだよ」と、子供のような困った顔をする。
昔、役所や会社というものには「重役出勤」という言葉があった。
まず、新人が早く出勤して、机の上を雑巾掛けする。次に社員。社長や重役は10時頃出勤する。
みんなが「おはようございまーす」と声を揃える。そして女性が(各人のマイカップに)お茶を淹れ、社長はゆっくりズズーッとそれを飲む。
その間、社員はせっせと働いている。
うーん。そんな時代があったのだ。
FAXもカラーテレビもパソコンも、無い時代。みんなは書類を鉛筆やボールペンで書きこむことが仕事であった。
コピー機が無いので、カーボン紙を何枚も挟んで強く書き込む。表面ボコボコの木の机で、肘に黒い袖カバーを着けていた。
夏は扇風機が書類を吹き飛ばしていた。
今、かっこいいオフィスでは、激しい仕事のために、社員がパソコンに伏せたまま、過労死する話も聞く。
「重役出勤」とは、今や社長や局長がとんでもなく早く出勤することである。
それから中堅、最後、ベルが鳴り出す頃か、もっと過ぎてから若手が出勤しているようだ。
良いことか、可笑しなことか?威張る人にも、厳しい時代ではある。
「また、お会いしましょ」 2003年3月23日更新