アーサーおじさんのデジタルエッセイ128
日本鑑定トップ | デジタルエッセイ目次 | 前に戻る | 次へ進む北の国から、報せが届いた。拉致された人々がどうなっているかという知らせだった。宮崎県や石川県の海岸で、北の国からこっそりやって来た舟に乗せられて、さらわれた。ベルギーでさらわれた女性もいた。
一度、石川県に県職員などへの講演で出かけたことがあった。「日本海の海岸はきれいでしょうねえ?」と訊いたら、「海岸はねえ…」と困った顔をされた。
『危険』なのだと言われた。その時“らち”と言う言葉が出たが、一瞬理解できなかった。数人に起こった出来事であっても、県住人全体に重く影響を与えてしまうのだ。
国内に潜んで、長く日本のスパイ活動をしていた北朝鮮の女性がかつて、いた。
彼女は年老いて、老後を心配していた。孤独で心細かっただろう。いつも胃薬を飲んで、胃潰瘍の持病があった。やがて、北の国に戻り名誉を与えられたようだ。どのくらいの幸せがあっただろうか。ニカ国後を流暢に喋る能力は、その後役に立っただろうか?
北の国には、なんだか自分たちの昔が詰まっているような、古いロケ地のようなノスタルジーがあるが、苦しみと悲しみも、風化することが出来ないでいるようだ。
「また、お会いしましょ。」 2002年9月22日更新